海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

時計の針を巻き戻す【名作探訪/序】

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本ブログ開設は2015年6月。レビュー数は、ようやく500を超えた。実質、1年間の数は100作品にも満たない。どうにも中途半端な数字だが、これが私にとっては自然なペースなのだろう。スタート時に掲載した大半は単なる覚え書き同然で、偉そうにレビューと掲げることさえ気が引けるレベルだ。また、古典的作品も殆ど取り上げていない。これは「はじめに」でも触れたのだが、数十年前にあらかた読了しているためと、今さら私がどう紹介しようが大して意味がないことによる。つまり、関連のガイドブック以外にも、ネット上で検索すれば「おすすめ海外ミステリ◯選」などというタイトルのサイトで幾らでも参照できるからだ。手っ取り早く万人が高評価を与えている作品を読みたいならば、それらで十分事足りるだろう。

それよりも、現在「氷河期」にある翻訳ミステリの出版状況に憤慨し、忘れ去られ、消えていった作家/作品に再び光を当て、記録したかった。そのため、どうしても脈絡のないラインナップとなっているのだが、幅広い海外ミステリの魅力をまだまだ伝え切れていないと反省している。そして、不遜にも「海外ミステリ・レビュー」と謳っている以上、今一度〝原点〟に立ち還ることも必要なのだという思いも強くなっている。〝若かりし頃〟に読み、心から感動した名作を再読し、現在どう感じるのか。どこまでも私的な選択とはなってしまうが、通常のレビューの合間に挟み込んで、これから掲載していきたい。

旅の起点に戻り、探訪する。きっと以前とは違う景色が見えてくるだろう。当然のこと、私の拙い経験と偏った嗜好に基づくものなので、中には納得できないレビューもあるだろう。あくまでも、こういう読み方もあると捉えてもらえたら幸いだ。

それでは、本ブログのカテゴリに【名作探訪】を新たに加え、時計の針を巻き戻すことにしよう。