海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「裁くのは誰か?」ビル・プロンジーニ、バリー・N・マルツバーグ

「驚天動地の大トリック」という惹句に惹かれて読む本格ファンは多いだろう。本作の結末について、良いも悪いも特に反応できなかった私は、ミステリを楽しむ基準が変わったのではなく、謎解きについてそもそも〝縛り〟がある方がおかしいという考えがあるからだ。「掟破り」「ぎりぎり」などという大袈裟な挑発/反応は、クリスティーの「アクロイド殺し」はフェアかアンフェアか、という前時代的/保守的な偏向の延長線上で捉えているに過ぎない。

1977年発表作。肝心のプロットは短編で事足りるアイデアで、さしたる感想もない。いまだにトリック偏重のマニアには、あれこれと語れる内容を含むものかもしれないが、娯楽小説であるはずのミステリに完全性を求めた「後期クイーン的問題」などと同じく、偏狭で大して中身の無い議論のための議論を展開する一部の作家/批評家/愛好家らに評価は任せておけばいいという感じだ。大統領を主人公とする諸々のディテールには興味深いものがあったが、やはり小ネタ感は否めない。

評価 ★★